施術においては、視診や触診などを用いながら、体の機能を改善していくことになります。そのなかで、不調を抱える人の多くでは、大腸の動きも悪くなっている場合がほとんどです。
そのため、大腸に生じている動きの制限を解消することには大きな意味があります。大腸(もっと大きくいうと、小腸を含めた下腹部)の機能の向上は、
・自然な腹式呼吸の促進によって全身の代謝が高まり、また副交感神経の働きを活性化、
・相対的に交感神経の働きが抑制され、筋肉に生じている緊張を少なくする、
・下肢や腰部の直接的な運動機能回復に、つながる、です。
大腸(下腹部)は、体の中心となっているため、その機能の活性化は内臓に限らず全身の機能活性化につながっていくわけですね。
大腸そのものの働きとしては、簡単には消化物/内容物の水分を吸収して、吸収されずに残ったものを便として肛門から排出することです。
それと関係して”大便(うんち)”についても書いていきます。
うんちの大部分は小腸で吸収されなかった食べ物の残りで、約75%は水分が占めています。水分量が多くなっていると下痢といいます。
食べ物の残り(固形成分)のなかで重要とされるのが、食物繊維です。人間は食物繊維のほとんどには対応できる消化酵素を持たないために、食物繊維は分解されずに小腸を通過して大腸に至ります。
代表的な食物繊維にセルロースがあります。これは植物の細胞にある主成分ですから、野菜を多く摂ると、腸内の食物繊維が増えて、うんちの量も増加するため、便秘によいとされます。
それだけではなく、食物繊維は消化吸収中の腐敗によって発生する毒性物質や余分な脂肪分を絡めとり、うんちとして排出する作用があります。
他には、腸内の古くなった細胞を拭き取る効果もあり、腸の粘膜表面を清浄します。また、食物繊維は腸内細菌のエサにもなることで、腸内細菌は生体に有用な物質を作り出すともされています。
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参考
・出すことのはなし
・當瀬規嗣著「よくわかる生理学の基本としくみ」
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