「不調があるのは姿勢がよくないから」、「意識して猫背を正しているのですが…」、「意識してないとすぐに姿勢が崩れてしまう」というような話はよくききます。
本来、姿勢とは体の内部の状態が表面化したものです。体の調子が悪かったり、体がかばいたい部分があると、その部位を中心に丸まった姿勢になるのが自然です。
例えば、お腹が痛いという場合には、お腹を手でおさえて背中が丸まるような感じです。これは、体自身が自然と”丸まりたい”と言っているのですね。
そのため、そうした体に不調がある状態で、意識的に姿勢を正そうとするのは、体からしたら不自然なことなのです。
体が伸びることでのスッキリ感はあるかもしれませんが、それはほんのわずかな解放感であるにすぎません。体や内臓に逆らって、無理やり続けてしまうと、さらなる不調につながりかねません。
また、体は一つの動作に対して、他のいくつもの動きを同時反射的に引き起こします。右足を挙げようとすれば、左足が踏んばったり、上体を傾けてバランスを取ろうとするようなことです。
正しい姿勢では、全身の力が同時に働いていたり、連動しているものです。体の局部だけを正そうとするのも、おかしな話となってしまいます。
人間の基本的な動作を立位とすれば、理想は筋力を用いない(不要な緊張がない)立ち方で、そこでは体にほとんど重さを感じず、自然に体が伸びている状態です。
また、そこから行われる動作も、同じように軽く動く感覚となり、余計な緊張をつくらず、内臓の働きも抑制されることはありません。
しかし、頑張って姿勢を正そうとしているおかげで、腰がいたくなったり、肩がこってきたという人は多いです。
よくいう良い姿勢とは、”良く見える姿勢”、”つくられた姿勢”であり、体の機能を向上させることにつながるのとは、イコールではないのですね。
関連:まっすぐな体、良い姿勢になるなかで
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