絵を描くときの”遠近法”とは、同じものでも近くのものは大きく見えて、遠くのものは小さく見えることです。
このように人間の思考や認識も、自分に関わりの近いものは重要に見えて、関わりの遠いものは些細に見えるものです。
そのため、常に認識の対象を自分の立場や価値観によって、「こういうものだ」という解釈をしてとらえているにすぎません。
しかしそうはいっても、しばらく日常生活をおくっていると、その日常に飲み込まれて忘れてしまいます。
そうならないためには、本から得た知識を言葉の上で理解するだけでなく、実際に体験することが大事です(大いなる正午)。
ニーチェ哲学で一番重要なのは、”世界には固定された絶対的な価値観(神・常識・事実)は存在しない”ことで、これこそが世界の本来の姿であり、それを体験を通して理解するのです。
具体的にはどういう体験というと、遅刻した人がいて、それは時間にルーズだからというのは思い込みで、実は人助けをしていたかもしれない可能性もあります。
しかし、そういった解釈(常識や思い込み)を一度外してみます。そして何にも意味がない景色をみる体験です。
そうした体験(悟りみたい)を経ると、「今の自分を乗り越えて、より高みを目指したい」という欲求へとつながります。
そこから「何の価値もない世界に”自らの意志”で価値をつくり、それをたのしむこと」、このことがニーチェのいう本来の生き方(幸福)であります。
できるかどうかでなく、とにかく”したいこと・おもしろいこと”(自分の気持ちに素直)といった「今この瞬間」を感じとり、たのしみながら生きることです。
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