筋肉などあらゆる運動器は、まずは内臓を守ることを最優先とし、そのなかで動くこととなります。運動器は、内臓状態を無視して自由に動けないわけですね。
仮に運動器が、内臓の状態を無視して自由に動いてしまうとすれば、力の弱い平滑筋(へいかつきん)を有する内臓は、すぐに壊れてしまうこととなります。
その平滑筋についてですが、平滑筋は内臓の筋肉で、内臓の動きや機能を引き出すものです。内臓の働きといっても、普段は意識しない/できないことが多いわけですが、その内臓の働きを支えているのです。
手足や胴体などの筋肉(骨格筋)は意識的に動かすことができますが、内臓の平滑筋は自分の意思で動かすことができません。
例えば、ごはんを食べると、それを運ぶ際に消化管の蠕動運動が起こります。食物輸送のほかに、食物と消化液を混ぜたり、食物を小さくして消化を助けたり、腸の粘膜と食物の接触を増やし、吸収を促進するのも蠕動運動によりますが、それには平滑筋の働きが関与しているのであり、自分の意思とは無関係に行われています。
こうした作業では、重いものを持つような大きな力を必要とはしませんが、疲れて力が出せなくては困るので、疲れないことが必要です。
内臓はその形状によって変形することで、管状の消化管や血管(大きな血管には平滑筋があります)では、内容物が押し運ばれたり、袋状の膀胱や胆嚢では、内容物を押し出したり分泌します。つまり、平滑筋は臓器の形に沿って力を出せるので、最小限の力で済むのです。
また、よく働き続けるために骨格筋に比べてエネルギーを節約しています。こうして、最小限の力で持続的な収縮が可能な平滑筋は、体全体の機能を絶えず維持する役割の内臓の運動に欠かせないものです。
しかし、こうした平滑筋を有する内臓であっても、たとえば必要以上に食べ過ぎたりして負担をかけていれば、余計な仕事が増えて疲れてしまうのは当然です。内臓が疲れているとは感じにくく、それが身体の不調やダルさとして表面化することになります。
身体が疲れていれば、内臓ももちろん疲れているわけで、そこで回復には体力が必要ですし、充分に回復できるような体力となるには体を休ませることも必要です。
今はまだ内臓の働きに目を向けることは少ないかもしれませんが、体がよくなっていくなかで、内臓の活動もはっきりと感じられるようになるといいですね。
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参考
・内臓の動き
・當瀬規嗣著「よくわかる生理学の基本としくみ」
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