機能回復(内転筋)

内転筋とは太ももの内側の筋肉のことで、脚を閉じる動き(内転)を主に行います。その内転筋についてですが、例えばO脚を改善したいときに「内転筋を鍛えましょう」といわれたり、バレリーナでは「内転筋を意識しなさい」などのようにいわれるようです。また、そうでない人でも体の安定感のためには、内転筋が機能していることは重要となります。

しかし、内転筋を鍛えたとしても、なかなか機能しづらいものです。それは、日常生活のなかで内転の動きというのは、そこまで多くなく、使えていないことになります。(筋肉がついても、その筋肉を使えるようになるということではないのです。)

人間の最も基本的な動きは歩行ですが、このときの動きは、屈曲・伸展の動き(縦の動き)です。そのため、内転筋の横の動きは、使われることが少なくなります。(実際には、歩行時でも内転筋も反応しているのが正常です。)

また、体全体でみても縦の動きの筋肉は多いのですが、横の動きの筋肉となると少なくなります。(回旋の動きの筋肉も少ないです。) 縦の動きをする強い筋肉によって、体が動くようなものです。

そして、歩行というのは無意識の運動(脚の動かし方を意識しない)です。

以上のことから、内転筋を鍛えて使おうする意識を持っても、日常の無意識のなかで内転筋が反応していないと、それは体に馴染まずに意味がありません。無理やり内転筋を使おうとするのでなく、自然と内転筋を意識できている歩行・姿勢というのが理想です。

そのためには、まず間違った意識・感覚の内転筋を、正しく使うという正しい意識が必要です。

例えばO脚が気になり内転筋を鍛えている人は、内転筋の意識が過剰で(しかし、正しく使えているのではないため、脚が閉じずにO脚のままです)、また、外側の筋肉ばかりを使っている人は、内転筋の意識が弱い、というようになりますが、いずれの場合も自然と使えているという感覚が必要です。

ただ、その正しく使うという感覚は、本人の体自体がわかっていない場合や、わかっていてもその人自身で正しい方に変えられない場合が多いものです。一度誤った感覚となり、その状態が無意識の運動レベルまでに影響していると、自分では正しい感覚の回復は難しいのです。

体を改善していきたい患者さんでは、セルフケアを行っている方も多いです。しかし、これまでのように機能回復は簡単でなく、施術においては、セルフケアではなかなか患者さん自身で意識できないようなところへの刺激を与え、改善していく手助けになればと思います。

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ぶちこふ
大学生時代は解剖学教室で骨形態の研究、査読論文執筆掲載。元日本解剖学会員、元健康運動指導士。 美容整体院での施術歴が長く、現在はフリーの整体師となり、日本古来の療術にハマっています。 技術・知識・人間性総じてまだまだ発展途上ですが、向上していくよう精進します。