頭を守る

体の機能を向上させていく途中で、”頭を守る”ことが邪魔をするという問題にあたります。

体を動かしているときに、体の使い方として頭を守っているか否かなのですが、ほとんどの大人では無意識に頭を守るべきものとしており、動作の際には頭を動かすことを嫌います。

このような大人の体と比べて、頭を守ろうとしていない体(本来の自然な動き)としては、幼い子供だったり野生動物となります。頭部は手足(四肢)のように使う道具であり、そこに頭を守るという意識はありません(四肢に頭を含めて”五肢”といったりします)。例えば野生動物なら道具としての頭は、頭つきや獲物を捕まえ噛みちぎるといったようなことです。

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理想的なのは、体を動かすときに常に全身を均等に使えていることで、動作の負担が全身に分散かつ全身を活性化させている状態です。しかし、大人は必要な機能のみを動かそうとして、ムダな動きが少ないようには見えていますが、逆に偏った動きとなり、部位によって活性度や疲労度に差がでてしまい、こうしたことが愁訴へとつながっていきます。

この体の使い方の違いが出やすいのが、大人の頭を守るという意識です。頭の安全を確保することを優先して、そのうえで体を動かしています。そのために頭と体が分離した動きがなされ、全身の均一性が損なわれています。

大人は常に何かしら頭を使って考え、判断を強いられる生活のくり返しです。考えるというのは、頭部に血液が集中しなくてはなりませんので、頭部の意識が強くなり、体の重心が上がります。そうした意識の強い部位は、自然と優先的に守るべき対象となり、”頭部中心”の体の動きになっています。

そしてこの状態では、頭を守る(動かさない)ために交感神経を活性化させて、全身に強い緊張を生じさせることで、肩こり、腰痛、内蔵機能低下など起こしやすく、体の自然な働きからは遠くなってしまいます。

また、頭を守ろうとしているときには、体は後ろにバランスが崩れることを嫌います。そのため体が丸まり、頭を守ることは猫背の理由の一つでもあります。

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以上のような体の機能の偏りは、ほとんどの人が潜在的に持っているものです。こうした体のシステムを内在していると、体の機能の活性化には限りがあります。より体をよくしていくには、そのシステム自体を変えていかなければならないのです。

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ぶちこふ
大学生時代は解剖学教室で骨形態の研究、査読論文執筆掲載。元日本解剖学会員、元健康運動指導士。 美容整体院での施術歴が長く、現在はフリーの整体師となり、日本古来の療術にハマっています。 技術・知識・人間性総じてまだまだ発展途上ですが、向上していくよう精進します。