患者さんなど、いろいろな人と話をしていると、「やりたいことがない」「夢がない」といって、人生がモヤモヤした感じになっているような人(ニーチェ哲学でいう末人)は多いです。
こうしたことから、ニーチェ(哲学者)の哲学は、”現代人の生き方指南・人生論”に直結するとのことで、”「最強!」のニーチェ入門 幸福になる哲学”本を読みました。
ニーチェ哲学によると、哲学は普段の生活ではあまり役には立ちません。しかし、いまの自分が信じている常識にとらわれず、自分の頭で考えて、前向きに生きていこうと思えるような”生き方が変わる”とのことです。
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哲学には、本質哲学(いわゆる哲学)と実存哲学(ニーチェはこちら)があります。
本質哲学は、正義・意味・価値などモノでないこと(物事の本質)について考える哲学です(↔️科学)。ここでは、”人生の意味を考える”としておきます。
そうした非現実的な存在に対して、実存哲学は現実の存在に目を向けたものです。
で、この実存哲学は本質哲学に対抗しているのですが、”人生に意味がある”と考えること(思い込み・信じ込み)は大変になるとするのです。
例えばそういった意味というのは、”スリムな体型が望ましい”とか、”やりがいのある仕事をするのがよい”というものですが、これらは”(社会的に)こうあるべき・こういうものだ”といわれているだけのものです。
つまり、自分の外から与えられた(押し付けられた)意味・常識で価値観の一つにすぎないわけです。そういったものにとらわれて、達成できない自分に失望し不幸を感じているのです。
人間は現実の存在(実存)なのであり、見たり触れたりできない、ありもしないようなものに縛られて、自分自身をみじめに思う必要はないということです。
そういうわけで、絶対的な価値観がなくなり、”人生に意味ない”となります。(ニーチェのことばでいうと、「神は死んだ」「ニヒリズム」。)
しかし、このように人生に意味はないと考えてしまっても虚しくなり、人生の充実感や情熱を失ってしまいます。この”なんの目標や夢もなく、トラブルを避けて、ひたすら時間をつぶすだけの人生を送る人”を「末人」といいます。
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